今回のリサイタルでは 一つ一つの曲に対するメッセージを記載しました。来ていただけなかった方にもみて頂きたいので
Nozomi Ninomya…2015年11月8日
~ Dedicato a te ~ あなたに捧げる歌声
TOPPAN HALL
【第1部…対訳 及び 解説】
(プログラムより抜粋)
1.花は咲く
(曲へのメッセージ)
先日 気仙沼に行きコンサートと稲刈りを
させて頂きました。1度は海水に覆われた
土地から 美味しいお米が実り、美しいコ
スモスが咲き、生命の力強さを感じまし
た。コンサートの初めに皆さんと一緒にこの曲を歌い、この場にいる事 そして音楽を共有できればと思います。
作詞:岩井俊二/作曲:菅野よう子
2.(聴覚)はなやぐ朝 歌曲集「魚とオレン
ジ」より
(曲へのメッセージ)
この曲は「魚とオレンジ」という8つの曲からなる女性の成長を描いた歌曲集の1曲目の幼少期のものです。作詞された坂田寛夫さんは「自分を超える圧倒的ななにもの力で今までの自分ではなくなる時に直面する事」を主題にされたそうです。
作詞:阪田寛夫/作曲:中田喜直
3.(視覚)「oh quante volte.oh?quante」
和名:あぁ 幾たびか
(この曲へのメッセージ)
オペラ「カプレ-ティ家とモンテッキ家」はロミオとジュリエットのお話です。私は「ロミオとジュリエット」の舞台となった街ヴェロ-ナの家の裏に3年間住んでいました。この歌を歌うと ヴェロ-ナの旧市街の様子、そしてジュリエットが家からこの歌を歌う情景、川や風の音、静まり返った夜の石畳の道 などが浮かんできます。そんな情景とジュリエットの想いを 皆様に想像して頂けたら幸いです。
作曲:V.Bellini オペラ「I capuchin e I montecchi」より. 和名:オペラ「カプレ-ティ家とモンテッキ家」
4.(嗅覚)「Son pochi fiori」
和名:この僅かな花を
(この曲へのメッセージ)
オペラ「友人フリッツ」は身分も年齢も違う二人が結ばれるという物語です。この曲は誕生日を迎えた資産家の地主フリッツのもとに小作農の娘スゼ-ルが花束を届けにやってくる時に歌われます。「あなたの幸せを願っているよ」という意味。ここでは「天が あなたの望むすべての良い事を与えられますように」と願います。皆様に 天が あなたの望むすべての良い事を与えられますように。
作曲:P.Mascagni オペラ「Lamico Fritz」より 和名:オペラ「友人フリッツ」
5.(触覚)「In quelle trine morbide」
和名:オペラ「マノン レスコ-」
(この曲へのメッセージ)
お金持ちの愛人となり、何不自由のない生活をてに入れたマノンが、昔の恋人との貧しいけれども幸せだった日々に戻りたいと歌うアリアです。この曲を聞いた時に 真っ先に レ-スの滑らかな生地、凍るように冷たい静けさの部屋、そして熱い唇と抱擁を感じました。イタリア語は音質を大事にする言葉。甘いという単語なら甘く聞こえ、凍っているという単語なら凍ったように聞こえる。そんな質感の違いを感じて頂ければと思います。
オペラ「Manon Iescaut」より.和名:オペラ「マノン レスコ-」
6.(味覚)第二楽章「材料」第三楽章「サンドイッチ用のパンに…」
(この曲へのメッセージ)
作詞された、林望さんが「音の晩餐」という「カリカリ」とか「ふわふわ」とかいうような、食べものに関する擬音を主題とする短いエッセイを集成したものに、それぞれの擬音に関連したレシピを組み合わせた本を出版されました。それを読んだ伊藤康英さんが作曲され、できた曲です。1楽章から3楽章まであるのですが、今回は2.3楽章だけを歌います。コンサートから帰って、あんこまパンを作って下さる方がいらしたなら、上手に演奏できた証だと思っております。
歌曲「あんこまぱん」より
7.「Ombra mai fe」和名:樹木の陰で
(この曲へのメッセージ)
この曲はプラタナスの木に向けて歌っている曲です。この木の様に、嵐や災難から人を守り、優しく心地よい存在になればと思っています。すべての方に平穏がおとずれますように願いをこめて歌います。
作曲:G.F.Handle
8.「夜想曲(ノクターン)作品9-2」
※ピアノソロ
(この曲のメッセージ)
ショパンは21曲 ノクターンを作曲していますが、この9-2が一番有名なのではないかと思います。私自身でも良く弾く曲ですが、最後のフレーズを綺麗に弾くのが難しいです。今日は、浅川さんの美しい音色を堪能して頂きたいと思います。
作曲:F.Chopin
9.「lntermezzo(Ave Mara)」
和名:間奏曲 アヴェ マリア
(この曲へのメッセージ)
原曲はオペラ「カヴァレリア ルスティカ-ナ」の中でイ-スターの日の教会の礼拝のシ-ンで流れる間奏曲です。あまりにこのメロディが有名になったので、歌詞がつけられました。私は以前このオペラの舞台となるシチリアで過ごした事があります。白い教会、人々の祈り、十字架をつけたキリストを皆で運ぶ姿は一人一人が神と向き合う神聖な時間でした。人生を歩んでいると辛いことは必ず訪れます。多数あるアヴェマリアのほとんどは神を賛美する歌詞がついていますが、私はこの「人の苦しみと神と対話」がひとくさくてとても好きです。
P.Mascagni作曲 オペラ「Cavalleria Rusticana」より.和名:オペラ「カヴァレリア ルスティカ-ナ」
10.チェロソロ 白鳥
(この曲へのメッセージ)
「白鳥」は フランス人の作曲家 サン・サ
-ンスが作曲した「動物の謝肉祭」は、
1886年に初演された全部で14曲から成る 組曲。白鳥、亀、ゾウ、カンガルーな ど、様々な動物が描写されている。多く の楽曲をパロディにして、時折それらを 皮肉っていることから、生前にこの曲が 一般に発表することはなかったといいま す。チェロは楽器の中で一番人間の声に 近いと言われています。
作曲:C.C.Saint-Saens
11.「Casta diva」和名:清き女神
(この曲へのメッセージ)
オペラ「ノルマ」の舞台は紀元前50年前のフランス周辺にあたる、ガリア地方です。ローマの制圧に苦しむドルイド教徒は自然界の全ての現象が宇宙的な大霊の現れであり、自然界の全ての生命は一つの大きな命の一部であると考える宗教で「清らかな女神」は森の中、めかんなぎの長 ノルマが、月に向かって神からのお告げを聞く儀式を行う時に歌うアリアです。反戦を望む民衆をなだめて下さいと願う祈りと.自分が敵の人間を愛して子どもまで作ってしまった複雑な心境が込められています。今回初めて この曲に挑戦しましたが、聴く度、歌う度に素晴らしさに引き込まれています。皆様に平和の安らぎが訪れますように…祈りを込めて歌います。
作曲:V.Bellini オペラ「Norma」
和名:ノルマ
12.「Lu Tepmu Passa」
和名:時は過ぎ行く
(この曲へのメッセージ)
この曲はイタリア人の作曲家が私の為に作曲してくれたものです。イタリア南部民謡のメロディーを取り入れて作れています。記念にCDに録音させて頂きました。昨年のリサイタルでこれを歌わせて頂いた時に 高校の恩師が亡くなった息子さんのことを思い出した…と仰って下さいました。貴方は誰を思い出すでしょうか。
作曲:G.Pensato
13.「明日という日が」
(この曲へのメッセージ)
何が起こるかわからないこの世の中、今貴方は病気で苦しんでいるかもしれない。沢山の悩みを抱えて辛い日々を送っているかもしれない。でも 今生きている事 それだけで、素晴らしい。私は明日がある限り幸せを信じて、そして自分を信じて生きていきたい。そして皆さんにもそうあって欲しいと思い、この曲をプログラムの最後にさせて頂きました。この会場に 今、皆さんと一緒にいられる事 そして音楽を、悲しみや
喜び、沢山の感情を一緒に共有できる事に感謝致します。
作詞:山本瓔子/作曲 八木澤教司
Soprano/二宮望実
Pianist/浅川真己子
Cellist/田中愛
司会.解説/飛岡健
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